お気に入りの革バッグ、ふと見ると表面がカサカサに…。そんな時、「家にあるニベアクリームで代用できないかな?」と考えたことはありませんか?
SNSやネットの情報では「ニベアで革が蘇った!」なんて声も聞かれますが、本当に大切なバッグに使っても大丈夫なのでしょうか。
こんにちは!500種類以上のバッグをレビューしてきた、バッグコンシェルジュのYUIです。10年以上の経験から言うと、革バッグへのニベアの使用は「条件付きでOK、でも基本的には非推奨」というのがプロとしての答えです。
この記事では、なぜそう言えるのか、そして、もしニベアを使う場合の正しい方法や注意点を、専門家の視点から徹底的に解説していきます。

この記事を最後まで読めば、もう革のお手入れで迷うことはありません。大切なバッグを長く、美しく保つための知識が身につきますよ。
この記事でわかること
- 革バッグにニベアを使っても平気?プロの最終結論
- ニベアで手入れするメリット・デメリットの全知識
- もしニベアを使うなら!失敗しないための正しい手順
- 実はニベアよりおすすめ!専用クリームとの決定的な違い
革バッグの手入れにニベアは使える?気になる疑問にプロが回答

ニベア青缶 引用:ニベア日本公式サイト
早速、核心のテーマからお話ししますね。「革バッグにニベアは使えるの?」という疑問。多くの方が気になっていますよね。
結論:使える革と使えない革がある【基本は非推奨】
いきなり核心からお伝えすると、「一部の革には使えるけれど、基本的にはおすすめしません」というのが私の見解です。
なぜなら、ニベアクリームは人間の肌のために作られた製品であり、革製品のために開発されたものではないからです。成分によっては、革に思わぬダメージを与えてしまうリスクが常に伴います。
緊急的な対応や、あくまで自己責任で試す、という範囲ならまだしも、大切にしている高級バッグや、長く使いたいと思っているバッグへの継続的な使用は避けるべきだと考えています。

ニベアで手入れするメリット・デメリット
では、なぜニベアが革のお手入れに使えると言われることがあるのでしょうか?ここでは、そのメリットと、見落としがちなデメリットを比較してみましょう。
メリット
- 手軽さ:ドラッグストアやコンビニで簡単に入手でき、価格も非常に安いです。
- 保湿効果:ニベアに含まれる油分が、乾燥した革に潤いを与え、カサつきを一時的に和らげます。
- 艶出し効果:油分によって、革の表面に自然なツヤが生まれます。
デメリット
- シミや色ムラの原因に:ニベアに含まれる水分や他の化学成分が、革の染料と反応してシミになることがあります。特に薄い色の革は要注意です。
- カビの発生リスク:革の内部に余分な水分や油分が残ると、それを栄養源としてカビが発生しやすくなります。
- 革の劣化を早める可能性:革の通気性を妨げたり、革本来の油分を奪ってしまったりすることで、長期的にはひび割れなどの劣化を早める恐れがあります。
- ベタつきやホコリの付着:革の表面にニベアの成分が残り、ベタつきの原因になります。そのベタつきがホコリや汚れを吸着し、黒ずみにつながることも。
このように、手軽さというメリットはありますが、デメリットの方がはるかに大きく、リスクが高いことがお分かりいただけるかと思います。
ニベアで革バッグを手入れする前に!必ず知っておきたい注意点

ニベアで革バッグを手入れする前に!必ず知っておきたい注意点
それでも「どうしてもニベアを試してみたい」という方のために、使用する前に必ず知っておいてほしい注意点を解説します。これを怠ると、大切なバッグを台無しにしてしまう可能性があるので、必ず読んでくださいね。
ニベアの成分と革への影響
まず、ニベアクリームの主な成分を見てみましょう。
ニベアクリームの主な成分(例)
水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料
注目すべきは、主成分が「水」であること。革製品は基本的に水に弱く、シミや型崩れの原因になります。また、「グリセリン」などの保湿成分は、人間の肌の角質層に水分を届けるためのもので、革の繊維に同じように作用するとは限りません。
油分である「ミネラルオイル」や「ワセリン」が革に潤いを与えてくれますが、これらの鉱物油は革の奥深くに浸透しにくく、表面に留まりがちです。これがベタつきや通気性の悪化につながるのです。
シミや色落ちのリスクを理解する
特に、ヌメ革や淡い色のレザー、スエードやヌバックなどの起毛革にニベアを使用するのは絶対に避けてください。ほぼ確実にシミになります。
染料で仕上げられたデリケートな革は、ニベアに含まれる水分や油分を急激に吸収してしまい、その部分だけ色が濃く変色してしまうのです。一度できたシミを元に戻すのは、プロでも非常に困難です。


事前のパッチテストは必須!
もし、どうしてもニベアを使う場合は、必ず「パッチテスト」を行ってください。これは、化粧品を試すときと同じですね。
バッグの底面や内側の目立たない部分に、綿棒などでニベアを少量だけ塗り、24時間ほど放置します。その後、シミや変色、ベタつきなどが起きていないかを確認してください。少しでも異変があれば、そのバッグにニベアを使うのは諦めましょう。
【実践】ニベアを使った革バッグの正しいお手入れ方法

【実践】ニベアを使った革バッグの正しいお手入れ方法
パッチテストをクリアし、自己責任の上でニベアを使ってみる、と決めた方のために、失敗のリスクを最小限に抑えるためのお手入れ方法をステップバイステップでご紹介します。
準備するもの
- 馬毛ブラシ(ホコリ落とし用)
- 柔らかい布(Tシャツの切れ端などでOK)を2〜3枚
- ニベアクリーム
お手入れの手順
- ブラッシングでホコリを落とす
まずはバッグ全体のホコリや表面の汚れを、馬毛ブラシで優しくブラッシングして落とします。縫い目や隙間も丁寧に。これをしないと、汚れをクリームと一緒に塗り込んでしまうことになります。 - ニベアを少量布に取る
清潔で柔らかい布に、ニベアクリームを米粒1〜2粒程度のごく少量だけ取ります。直接バッグに塗るのは絶対にやめてください!量が多すぎてシミの原因になります。 - 薄く、均一に塗り広げる
クリームを取った布をよく揉み込み、布全体に馴染ませてから、円を描くように優しく、素早く塗り広げていきます。一箇所に留まらず、全体に薄く均一に伸ばすのがコツです。 - 乾拭きで余分な油分を拭き取る
塗り終わったら、新しい乾いた布でバッグ全体を優しく乾拭きします。表面に残った余分な油分を拭き取ることで、ベタつきやホコリの付着を防ぎます。 - 風通しの良い日陰で乾かす
最後に、直射日光の当たらない、風通しの良い場所で数時間〜半日ほど陰干しします。革の内部に残った水分をしっかり乾かすことで、カビの発生を防ぎます。

ニベアは万能じゃない!革の種類別に見る相性
「私のバッグはニベアを使っても大丈夫?」そんな疑問にお答えするために、革の種類別に相性をまとめてみました。
ニベアを使ってもOKな可能性が高い革
比較的、トラブルが起きにくいとされるのは、表面が顔料でコーティングされた丈夫な革です。
- スムースレザー(顔料仕上げ):表面がツルツルしていて、ある程度の耐水性がある一般的な革です。ただし、高級ブランドで使われる染料仕上げのデリケートなものはNGです。見分けが難しい場合は避けた方が無難です。
- 合成皮革(フェイクレザー):本革ではありませんが、表面の汚れ落としやツヤ出しとして使える場合があります。ただし、素材によっては化学反応で劣化することもあるので、こちらもパッチテストは必須です。
絶対にNG!ニベアが使えない革の種類
以下の革は、水分や油分を吸収しやすく、シミや変質のリスクが非常に高いため、ニベアの使用は絶対に避けてください。
- ヌメ革:経年変化を楽しむための無加工の革。雨粒でもシミになるほどデリケートです。
- スエード、ヌバック、ベロア:起毛系の革は、クリームを塗ると毛が寝てしまい、質感が台無しになります。
- 爬虫類革(クロコダイル、パイソンなど):専用のクリーム以外を使うと、鱗が剥がれたり、風合いを損なう原因になります。
- エナメル革:表面の樹脂コーティングが化学反応を起こし、曇りやベタつきの原因になる可能性があります。
正直、ニベアよりおすすめ!革バッグ専用クリームの魅力
ここまでニベアの使い方を解説してきましたが、バッグコンシェルジュとしての本音を言うと、「やはり専用のレザークリーナーを使ってほしい」ということです。
なぜ専用クリームの方が良いのか?
理由はとてもシンプルです。専用クリームは、革の構造や特性を研究し尽くして開発されているからです。
専用レザークリーム | ニベアクリーム | |
---|---|---|
主成分 | 動物性・植物性のオイルやロウ(ミンクオイル、ホホバオイル、ビーズワックスなど) | 水、鉱物油(ミネラルオイル、ワセリン) |
浸透性 | 革の繊維に深く浸透し、内側から栄養を与える | 表面に留まりやすい |
効果 | 保湿、栄養補給、防水、防カビ、ツヤ出しなど多機能 | 一時的な保湿、ツヤ出し |
リスク | 非常に低い(革の種類に合ったものを選べば) | シミ、カビ、ベタつき、劣化促進など高い |
専用クリームは、革に必要な油分を補給し、乾燥やひび割れから守ってくれるだけでなく、防水効果や防カビ効果をプラスしてくれるものも多くあります。革の呼吸を妨げることなく、最適な状態を長く保ってくれる、まさに革の”栄養ドリンク”のような存在なんです。
正直、ニベアよりおすすめ!革バッグ専用クリームの魅力
ここまでニベアの使い方を解説してきましたが、バッグコンシェルジュとしての本音を言うと、「やはり専用のレザークリームを使ってほしい」ということです。
プロが選ぶ!まず試してほしい鉄板レザークリーナー3選
「じゃあ、どんなクリームを選べばいいの?」という方のために、ここでは「これさえ買っておけば間違いない!」と私が太鼓判を押す、鉄板のレザークリームを3つだけ厳選してご紹介しますね。
それぞれに特徴があるので、ご自身のバッグやライフスタイルに合わせて選んでみてください。
1. 【革の栄養ドリンク】コロニル 1909 シュプリームクリームデラックス
ワンランク上の輝きを求めるあなたへ。ドイツ生まれの老舗レザーケアブランド「コロニル」の最高級クリームです。高品質なシーダーウッドオイルなどが革に深い栄養を与え、うっとりするような、しっとりとした上品なツヤが出ます。伸びが良く、少量で効果を発揮してくれるのも嬉しいポイント。(参照:コロニル公式サイト)

2. 【万能お守りクリーム】M.モゥブレィ デリケートクリーム
「どれを買えばいいか迷ったら、まずコレ!」と断言できる万能クリーム。水分を多く含んだジェル状で、革に潤いを与えつつ、シミになりにくいのが最大の特徴。デリケートなラムスキンやヌメ革など、使える革の種類が非常に広いのが魅力です。革本来のマットな風合いを保ちたい方にも。(参照:M.モゥブレィ公式サイト)

3. 【簡単イズベスト】ラナパー レザートリートメント
「お手入れは、とにかく簡単なのが一番!」という方に。ホホバオイルや蜜蝋といった天然成分100%のトリートメントです。付属のスポンジでサッと塗るだけで、保湿・ツヤ出し・撥水効果まで得られます。無色・無臭でベタつかず、バッグ以外にも革靴、ジャケット、ソファなど家中の革製品に使える手軽さが人気です。(参照:ラナパー公式サイト)

ここで紹介した以外にも、素晴らしいレザークリームはたくさんあります。
「もっと他のレザークリームも比較してみたい!」「汚れ落とし専用のレザークリーナーについても知りたい」という方は、こちらの記事でさらに詳しく、ランキング形式で解説していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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大切なバッグを長持ちさせる秘訣がここに!私が自信を持っておすすめするアイテムだけを厳選しました。100均アイテムでのお手入れ法もこっそり紹介していますよ。
100均アイテムで代用できる?
「専用品は高いから、100均で済ませたい」という声も聞きます。最近の100円ショップには革製品用のクリームが売られていることもありますよね。
結論から言うと、高価なバッグや大切なバッグに使うのはおすすめしません。安価な合皮の小物などを試す程度なら良いかもしれませんが、やはり成分が不明な点が多く、専用メーカー品ほどの品質は期待できません。効果が薄いだけでなく、逆に革を傷めてしまう可能性もゼロではないのです。
良いクリームは一つ持っておけば数年間は使えます。1回あたりのコストで考えれば、決して高い買い物ではありません。大切なバッグへの投資だと思って、ぜひ信頼できるメーカーの専用クリームを選んであげてくださいね。
よくある質問(Q&A)
最後に、お客様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. ニベア以外のハンドクリームでも代用できますか?
A1. 基本的にはおすすめしません。ハンドクリームには尿素やアルコールなど、革にダメージを与える可能性のある成分が含まれていることが多いからです。ニベア以上にリスクが高いと考えた方が良いでしょう。
Q2. 革バッグのお手入れの頻度はどれくらいが適切ですか?
A2. バッグの使用頻度や革の種類にもよりますが、2〜3ヶ月に1回程度が目安です。毎日使うバッグならもう少し頻繁に、たまにしか使わないバッグでも、季節の変わり目などには状態をチェックしてお手入れしてあげると長持ちしますよ。
Q3. ニベアを使ったらシミになってしまいました。どうすればいいですか?
A3. まずは慌てずに、乾いた布で優しく叩くようにして、できるだけ油分を吸い取ってください。それでもシミが消えない場合は、無理にこすったりせず、革製品専門のクリーニング店に相談することをおすすめします。早めの対処が肝心です。
\ 自分に合ったレザークリームを探してみよう! /
まとめ:大切な革バッグには、正しいお手入れで愛情を
いかがでしたか?今回は、革バッグのお手入れにニベアを使うことについて、プロの視点から詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
今回のまとめ
- ニベアの使用は「条件付きOK」だが、シミや劣化のリスクが高いため基本的には非推奨。
- もし使うなら、目立たない場所でのパッチテストが必須。ごく少量を薄く伸ばすこと。
- ヌメ革やスエードなど、水や油を吸いやすいデリケートな革には絶対に使用しないこと。
- 最も安全で効果的なのは、革のために作られた専用のレザークリームを使うこと。
革バッグは、きちんとお手入れすれば10年、20年と長く寄り添ってくれる、まるで相棒のような存在です。手軽さからニベアを選びたくなる気持ちもわかりますが、少しだけ手間と愛情をかけてあげることで、その輝きは全く違ってきます。
ぜひ、あなたの素敵なバッグに合った正しいケアを選んで、これからも長く愛用してあげてくださいね。お手入れについて、また何か分からないことがあれば、いつでも聞きに来てください!
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